『ブラザーズ・グリム』

 テリー・ギリアム恐るるに足らずッ
(猛獣のように低く身構え、猛禽の爪のように指を曲げた右手を顔の前に掲げながら)
 いやなんてすみません。テヘ☆
 予備知識なしで『12モンキーズ』を見て、あまりの後味の悪さにギリアムってなんか難しくてコワ〜イとキョーレツに刷り込まれていたので…。なのに『ブラザーズ・グリム』は予告編がイイ感じに馬鹿っぽそうで、おかしい、また予告編に騙されるのか、とビクビクしながら観に行きました。
 大丈夫でした。
 すッごい馬鹿っぽかった。イイ感じに。
 詐欺師なグリム兄弟が個人的に大ヒットでした。
 冒頭思いっきり騙されてて、妖怪ハンターのグリム兄弟がアリなら、邪神ハンターなラヴクラフトもアリだなあ、と思っていたのは内緒です。
 女猟師がなぜスカートを履くようになったのかとか、拷問アーティストの突然の変節とか、呪いじゃあ!の老婆は何だったのか、とか疑問点は多々ありますが、小ギャグが冴えてたからまあいいか、と思いました。てか堅苦しく考えてつっこむ方が野暮かもなあ、と思いました。
 あと、偉そうに知ったかな解説?をするなら、異質な二人が共に冒険をする過程で歩み寄る話かと思いました。登場するのは、現実型の兄貴とファンタジーどっぷり弟です。二人を微妙に隔てるのは、映画の冒頭で語られる、弟のファンタジーどっぷりが原因で妹を失ってしまった体験です。
 なのに本編が始まると、兄弟が屈託なく仲良しでアレーと思いました。
 んで、冒頭の話を忘れた頃に妹喪失のトラウマの話が蒸し返されるので、またアレーと思いました。
 じゃあ、妹喪失トラウマが冒険を通じて癒される展開になるのかと思ったらそうでもなかったような。アレー。
 冒険を通じてキャラクタは成長するわけで。兄貴は現実型ながらもファンタジーを楽しめる柔軟さを身につけ、ファンタジーどっぷり弟は現実的な強さを得ました、何事も極端なのはよろしくないからです、大切なのはバランスです、というのは納得できるのですが、でもやっぱり妹トラウマの解決抜きではそうはならんのじゃないか。
 でも堅苦しく考えてつっこむ方が野暮かも…やっぱり…。