ラヴクラフト本人に萌えてきた!
お盆過ぎからラヴクラフトを読んでいます。
若い頃はどばーんと邪神が出てくる話ばかり喜んで読んでいたので、そうでない話を中心に再読しています。つまり読み飛ばしてたあたりを…。
創元社のラヴクラフト全集6巻の、ファンタジー色の強い作品と「銀の鍵」がしみじみと良かった。現実世界を離れて夢の世界に行きたい/行けない/行ったらまずいかも。という葛藤が、ラヴクラフト先生の幸薄い生涯を思うと、胸に迫りました。
ニューヨークが肌に合わず故郷に撤退してきたエピソードを思うと、3巻の「アウトサイダー」の疎外感とか…泣けた…*1
作家というものが基本的には自分自身のことを書いているのだという説を正しいとするならば、アラビアンナイトやギリシア神話を読んで異国の壮麗な都に憧れ、その光景を繰り返し空想していたラヴクラフト少年が、病気と貧乏に耐えながら「もう少年の頃のようにみずみずしい夢を見ることもできないよ」と寂しげに笑うラヴクラフト青年が*2、どうして暗黒神話作家になっちゃったのかしらと。やっぱり何か受信しちゃったのかしら。
現実が辛くて空想に逃避しようとしても空想の中にも不安や恐怖が出てきてしまう、一種のバッドトリップをする人だったのかなあ、なんて思ったりとか……合掌。