「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」

 名物にうまいものなし。続編にもうまいものなし(´;ω;`)ウッ…

 

 上映直前のツイート↓

 名作のン十年ぶりの続編やリメイクで、泣いていたオールドファンの気持ちが分かりました…

 分かってるんだ! 前作は思い出補正されてるって! ああ認めるよ!お気に入りの名シーンを脳内再生するだけで、実際は何年も前作は見なおしてないよ!ごめんなさいごめんなさいわたしが悪かったです。

 ぶっちゃけ単調な作りでしたネ!

 2回3回と見たい場面があったかな… なかったかも知れない…ディケンベ無双乱舞みたいな場面があったら良かったなあ。

 うーん、怪獣(?)をはっきりくっきり見せてきた心意気は…買いたい…?

 怪獣映画って、雨の夜にゴチャゴチャやってて怪獣はよく見えないのが多いじゃない?

 白い砂浜(違うけど)、晴天、全力疾走。なんだか健康美すら感じた。スケール感はあんまりなかった。

 いろいろしょんぼりだったので、帰ってきて「インデペンデンス・デイ」を見ました。

 アル中おじさんパイロット、良かったなあ。

 アブダクションなんてアル中の幻覚だろって笑われてたけど、マジだった!って流れが好き。アル中おじさんはラストもカッコよかった。リサージェンスには!こういう!味のあるキャラがいないんだよ!!!

 

 インデペンデンス・デイ:リサージェンスは、一種の歴史改変ものと言えるでしょう。

 1997年に宇宙人の侵略があった世界の、2016年の話で。

 人口が激減して、911はなくて、それに続く戦争もなくて、米中は対立していない。そしてUFO特番もない…あ、私たちの2016年にもUFO特番はないか…

 兵器も、街の生活も、宇宙人テクノロジーで一新されてて。

 思うに、だからリサージェンスはダメなのでは…。

 前作は私たちの「今」「現実」と地続きだったから、すごくワクワクしたのかも知れませんね。実在の街が消し飛び、実在の兵器が宇宙人とドンパチするんです。

 あと宇宙人あるあるネタも面白かった!

 アブダクションもそうだし、SETIプロジェクトとかコンタクティ志願者とか歴代大統領も知らなかったエリア51の真実!とか宇宙人関連あるあるネタが、「宇宙人がいることは証明済み」のリサージェンスには皆無だったのが寂しい。

 

 ところで。

 ディケンベの故郷、墜落した宇宙船の隣の軍閥村がもっと見たかったと思いませんか? ここに村の話が載ってます!読もう!

インデペンデンス・デイ:クルーシブル: ~胎動/1947-2016~ (文芸書)

インデペンデンス・デイ:クルーシブル: ~胎動/1947-2016~ (文芸書)

  • 作者: グレッグキイス,Greg Keyes,遠藤公美恵
  • 出版社/メーカー: リンダパブリッシャーズ
  • 発売日: 2016/06/21
  • メディア: 文庫
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

 

 

 

 

「インデペンデンス・デイ:クルーシブル」

  97年以来のエメリッヒファンですが…インデペンデンス・デイの続編にはガッカリしてしまいました。しくしく。

インデペンデンス・デイ:クルーシブル: ~胎動/1947-2016~ (文芸書)

インデペンデンス・デイ:クルーシブル: ~胎動/1947-2016~ (文芸書)

  • 作者: グレッグキイス,Greg Keyes,遠藤公美恵
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  • 発売日: 2016/06/21
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  16年前半現在、関連ノベルが2作出版されています。

 ひとつは続編のノベライズ、もうひとつはこちら。前日譚となっています。

 

 続編「リサージェンス」を観て、息子世代パイロット組と、ダブルマチェーテの黒人に違和感を覚えました。意味ありげな描写が多くて。そのへんはきっと伏線で、これから劇中で語られるのかなーと思ったら全くそんなことはなくて、キャラクターが多すぎて説明不足の消化不良の感じだけが残った。しょんぼり。

 その違和感の正体は「クルーシブル」のストーリーをふまえた描写が中途半端に入っていたからかも知れません。

 まえに続編は3部作とか4部作とかって構想を一瞬聞いたような気がしたんですが…もしかしたらこの前日譚も映像化される予定があったのでしょうか。

 「クルーシブル」は前日譚です。前作の日から始まって、ホイットモア、デイビットとコニー、ウィル・スミスのその後が語られます。

 パイロット組の学生時代の話も…だいたい「リサージェンス」を見てて見当がつきましたが、ウィル・スミスの息子、ホイットモア大統領の娘、月で干されていたジェイクが同期生で、学生時代にいろいろあったんです。いろいろ。三角関係的な。ああやっぱりね。でも正直しょうもなかったので、映画ではそのへん思い切って整理しても良かったんじゃないかな…

 ジェイクとチャーリーが同じ孤児院出身ってことが分かったのだけが収穫でしょうか。「俺たちは家族だから」ってのはそういう意味なんですよ!ほも的に解釈してごめん!と思いました。

 と、さんざん悪口を書いていますが…、ダブルマチェーテの黒人部族長・ディケンベ・ウンブトゥのストーリーが面白かった!

 大味などっかんどっかんムービー本編ではぜったいに見れない部分です。

 前作を見た後、復興のストーリーを想像したことはありませんか? 宇宙人の残党がどこかにいるのでは?と想像したことは? 一見ハッピーエンドだど、あの後が大変そうだなーって。

 ディケンベの戦後の人生はまさにそれでした。

 97年の戦いの後、ディケンベの故郷には損傷のない宇宙船が着陸していて、宇宙人が数千人単位で取り残されていました。ディケンベの父は地元民を率い、10年かけて宇宙人を駆逐しました。アメリカの援助も、国連の援助もはねのけて。

 宇宙人はいなくなったけど、故郷は永遠に変わってしまった。狂気の独裁者を頂く孤立した「共和国」に。

 97年の侵略戦争がなかったら、ディケンベはロンドンで芸術家の道を選んでいただろう。(そして実家からは勘当されていた)

 その彼が、戦いの道を選び、宇宙人との戦いで勝ち残り、父である狂気の独裁者と対決する。ヒロイックなストーリーでした。

 続編中では、いるだけでメガネの監査官に劣等感を抱かせ続けていたディケンベですが…。意外と彼に共感をしていたのでしょうか。それとも、戦いに高揚感を感じる彼を冷ややかに見ていたのでしょうか。

 現状では10人が10人、「意味ありげに出てきたけど生かし切れてないキャラ」「ばっさり削った方がストーリーがすっきりしたのでは?」と思うであろうディケンベ… 彼が主役のスピンオフが見てみたいな。アクションがメインで、90分ぐらいのチャキチャキしたやつを。

サガノヘルマー「Brack Brain」

 

 

[https://twitter.com/monaka2012/status/748505997304442880:embed#マンガ友からサ

ガノヘルマー「ブラック ブレイン」をオススメされました。週末に読めるように明日持ってきてくれるって! ちょっと検索したけどだいぶすごそうだな…( ;´ ▽ \` )ノ]

オタクにも肉体がある。

話題のエッセイコミックを読みました。

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

  • 作者:永田カビ
  • 発売日: 2016/06/17
  • メディア: コミック
 
死んで生き返りましたれぽ

死んで生き返りましたれぽ

  • 作者:村上 竹尾
  • 発売日: 2014/11/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ 」とても良かったです。オタクにも肉体があり、人生があることを思い出した。

 むかし、若くて怖いもの知らずだったころ、一生、好きなものに打ち込んで行けると思ってました。同人やめるとか信じられなかった。今では、人生の色んな事情で辞めざるを得ない場面があると知っているし、今や健康上の理由も、り、理由になると…!歳はとりたくないのう!( ;´ ▽ \` )ノ

 オタクにも肉体があり無視できない、と薄々感じていたところに、「死んで生き返りましたれぽ」が話題となって、読んで、ものすごく腑に落ちたの。健康はだいじ!!! ですよね。

谷甲州『終わりなき索敵』

 航空宇宙軍史シリーズに新作が出ました!

  ひまを見つけて、旧作を少しずつ読み返しています。

 「終わりなき索敵」(93)、いろいろいらぬ知識をつけた後に再読すると、連想が広がって面白いですね。例えばマヤとシマザキのエピソードは「エヴァンゲリオンAir/まごころを、君に」(97)のパクリではないのか?とか。

 スピ系で言う?トータルセルフとかI/Thereとか言うものを連想するようなしないような?全体に臨死体験のようでもある。違うのは定番?の「無条件の愛」が出てこないあたりかな?

 てゆうか「索敵」のあれは、臨死体験なんですよね?

 谷甲州の作品は「好きになれないやつ」が出てくるのですごい。てか索敵は9割そうかも。昨今のエンタメは敵将すらなんか憎めない感じに描写することが多いのにね。軟弱だよね!って思っちゃう。

 主人公の一人、ロックウッドからして、そうとう嫌なヤツですよね。艦長の求心力を高めるために計算尽くでみんなの前で副長のメンツ潰すとか…主人公補正と、読者としてこうなった過去のトラウマを知ってるから誤魔化されがちですが…

 だいたいこの人、人から好かれようとか嫌われたくないとか1ミリも思ってないよね。すごいよね。何年も同じメンバーで顔を突き合わせてる環境で。私ならストレスで死ぬわぁ。

 ロックウッドの仲良しって、鳥と作業体Kぐらいじゃないかしら。それも「鳥」の方はコズミックホラー的な、正体不明の、本当に鳥なのかも怪しいヤツで。

 

 いちばん怖い場面は「あなたは300年ちかくの間予備役将校として 冷 凍 保 存されていました」だと思います。こんな予備役は嫌だ(´;ω;`)

 榛原はどうして気さくにロックウッドに話しかけるのかなあ? 親しみを持つような接点ないのに。ロックウッドが昔かわいがってた犬に似てて親しみを感じるとか? うーん、榛原ちょっと空気読めなくて誰にでもフランク説とか…

 

 夢を見るなら、勇者ダムダリの生身で衛星軌道上の宇宙戦艦を撃墜する夢が見たかった。寝る前に読んでたので。何度読んでもあれはすごいよね。目測で命中するものなのか。爆散円が十分に大きければけっこう行けるものなのか。私の中ではマスターアジアと同じ枠にいる感じだ。

 

 おかしいよって言ってくれるまどかみたいな人がいない組織。最大効率で取り組んでも上手くいかないなら、前提がおかしいよって言ってくれる人がいない組織。

 あと、一任務数百年とかかかっちゃうのも良くないかな… 一人のトップが組織の「顔」として活躍できるのは、せいぜい10〜20年のスパンだよねえ。

 

いなか者、読書会へ行く 谷甲州「コロンビア・ゼロ」

 一目で分かることは、案外と本には書いてないものだ。

 僻地で、一人で本を読みながら「こんな風だろうか」と想像しながらやっていると、つまらないことを勘違いしていることがある。
 例えば、私は10年以上Gペンの使い方を勘違いしていた。アシスタントにでも行って人がGペンを使っているところを見れば、一目で間違いに気づいたことだろうに。
 
 思えば、かの谷甲州だって、処女作を原稿用紙に横書きで応募したのではなかったか。規定違反である。
 若き日に外国でコツコツ小説を書いていたので、原稿用紙を縦書きで使われているところを見たことがなかったのかもしれない。
 
 というわけで、読書会、なのです。
 読書会という言葉は知っていたが、参加したことはない。見たこともない。
 と、思っていたが、実例をひとつだけ知っていた。
 使われる本は、ただ一冊の、大文字で綴られる「本」で…付け加えるならば田舎の大学ではしばしば宗教の勧誘の隠れ蓑だった。くわばらくわばらである。
 
 それが違う読書会だとは分かっている。
 遠くの空のもとに、これとは違う本当の読書会があると信じていた。
  うっすらと「こんな風じゃないだろうか?」と想像するが、間違っていると恥ずかしいので黙っていた。親切な人が、メーリングリストに大まかな流れを投稿してくれたので、助かった。でも油断はならない。
 
 
 私は、読書会の実像を探るために新宿に飛んだ。
 新宿は行くたびに構造が違うような気がする。それで道に迷ったのは別の話、別の時に語ろう。
 
 読書会テキストは、谷甲州「コロンビア・ゼロ」
 日本SF大賞受賞作である。
 何年もみんなが待っていた、第二次外惑星動乱、開幕ですよ!
 開戦準備だけで何年もかかるのではないかというおおかたの予想に反して、ちゃんと開戦してますよ!みんな!読もう!
 
 
 結論から言うと読書会はたいへん楽しかったです。
 べつに怪しくもなかった。あたりまえか。
 幹事さんが骨を折ってくれて次々とコーヒーとサンドイッチが届き、快適な環境で、本のことだけしゃべってるなんて、パラダイスかと思いました。
 わぁわぁと活発な意見交換ができて楽しかったです。
 誰もが気になっていた部分と、あなたはそこが気になってしょうがないんですね…(汗)という部分があって面白いですね。
 
 それで気がついたことがあります。
 田舎で一人で本を読んで、自分なりにいろいろと考えたりしていましたが…決定的に足りないものがあったんです。
 喋らないんです。声に出して言う機会がないのです。
 読書会でわぁわぁと意見を言って、声を上げて笑って、ほんとうに声に出してなかったなーと思いました。
 声に出して言いたい日本語は!
 第二次外惑星動乱!そして艦隊決戦!!
 
 
 ぴったりのキャッチコピーが成立する瞬間に立ち会えたのも面白かった。
 
 そう、「谷甲州朝チュン説」
 
 「この感じ…なんて表現したらいいんだろう?」と思っていたものに、短くてピッタリくる名前がつけられるのは、なんて言ったらいいんだろう?人間はこうやって思考の範囲を広げてきたんだろうなって思う。
 かつて「おたく」という言葉が世に広く知られて、世の中が「おたく」という性格類型あるいはライフスタイルを知覚して話題にできるようになったように。
 名付けられてはじめて、輪郭がはっきりして姿が見えるようになるものがあると思う。名付けられてはじめて、議題にできるものが。
 
 そう、谷甲州の作風は、「朝チュン
 ストンと胸に落ちました。
 これは声に出して言いたい。声を大にして言いたい。
 みんなで言いましょう!谷甲州朝チュン!」
 

 最後に、[本当は読書会に参加したかった]中村さん(東北在住)のメールを引用します。

 読書会で「第二次外惑星動乱の着地点はどこなんだろうね?」って話になったのです。帰ってきてその話をメールで中村さんにしたら、中村さんが予想をメールに書いてくれたのでした。

 中村さんも参加したら面白かったでしょうね。

 

 第二次外惑星動乱の着地点?つきつめると、どっちが勝つかってことでしょうが、やってみないと、わかりませんね。

 一応粗筋は、ガス惑星降下作戦⇒空母機動部隊の激突⇒通商破壊作戦⇒?

 という感じですか。全ては4個のガス惑星のうち幾つが外連に占領されるかにかかると思います。4個すべてで成功すれば外連の勝ちでしょうね。占領に失敗したガス惑星の地球へのヘリウム供給ラインが生命線となるため、外連の攻撃はここに集中することになります。一方航空宇宙軍は、外惑星連合経済圏の破壊のため外惑星間の通商ラインを攻撃します。いずれにせよ制宙権の確保のために空母機動部隊が雌雄を決することになります。こんなところですかね。

 

 空母機動部隊、これも声に出して言いたい日本語だと思います。

 声に出したい… そのためには続編が本になって、読書会がまた開かれる日を…

 

 

 

萩尾望都『マージナル』再読

 

マージナル(1) (小学館文庫)

マージナル(1) (小学館文庫)